ブックタイトル広報なかがわ No.132

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概要

広報なかがわ No.132

秋季特別展浮世絵風景画の歴史はこの「冨嶽三十六景」からはじまると言っても過言ではありません。第132回役者絵や美人画が浮世絵の創生期から描かれ続けているのに比べ、風景画は150年以上出遅れました。理由についてはいろいろ言われていますが、そのひとつに実景とは違った描き方にあったのではないかと言われています。風景画が単独で描かれる事は少なく、風景が利用される場合は、美人や役者の背景として季節や名所地、または行事の一環として背景に描かれる程度でした。しかし、文化文政期には北斎派の人達は競って風景画を描き、それぞれの絵師が個性的な作品を作り上げます。中でも葛飾北斎(1790~1849)は70歳代に風景画に傾注し多くの名品を描いていました。この「冨嶽三十六景」は北斎が文政(1818~1830)末年から制作し、富士山をあらゆる方向から眺めた作品です。当初36枚で終わる予定でしたが、人気が出たために10枚が追加され46枚あいずりで完結しました。初めの36枚の主版は藍摺で行われ、残りの10枚は墨が用いられています。主色には、当時流行していたベロ藍が使用されています。本図は「冨嶽がいふうかいせい三十六景」(大判46枚揃西村屋与八)中の「凱風快晴」です。冷え込んだ秋の早朝に、朝日で赤く染まる富士山を描いています。僅かな色で表現したこの作品は、販売用に制作されたわけではなく宣伝用に配られた作品と推測されます。その理由は、画中に版元印や出版許可印が無いためです。このような作品は、「冨嶽三十六景」中の「山下白雨」「神奈川沖浪裏」と本図の三点だけです。しかしこの三点は、北斎の風景画を代表する作品でこの揃物中で最も評価の高い作品であり、遠く西欧の美術全般にまで影響を与えました。以降北斎は「詩哥写真鏡」(長大判10枚揃)「琉球八景」(大判8枚揃)「諸国瀧廻り」(大判8枚揃)「諸国名橋奇覧」(大判11枚揃)「千絵の海」(中判)など陸続と開版しましたが、天保5年頃を境に風景画から離れて行きます。こいしかわ「浮世絵名品展-礫川・松井コレクション-」「冨嶽三十六景-凱風快晴-」葛飾北斎この作品の成功により風景画ははじめて市場として礎を築き、続いて歌川広重が「東海道五拾三次之内」や「江戸名所」を出版すると風景画は市場として確立しました。今回の展覧会は「礫川・松井コレクション」から180余点を選び浮世絵の歴史が概観できるようにしています。馬頭広重美術館館長市川信也【会期】前期:9月16日(金)~10月16日(日)後期:10月21日(金)~11月27日(日)【ミュージアムトーク(展示解説)】前期:9月17日(土)午後1時30分~当館館長【関連講演会】9月18日(日)午後1時30分~3時当館視聴覚研修室新藤茂氏(国際浮世絵学会常任理事)【開館時間】午前9時30分より午後5時まで(但し入館は午後4時30分まで)【休館日】月曜日、祝日の翌日【入館料】大人700円(630円)高・大学生400円(360円)※()は20名以上の団体料金。※中学生以下は無料。※障がい者手帳等をお持ちの方・付き添い1名は半額平成27年度那珂川町観光写真コンテスト受賞作品入選「紅葉の頃」撮影者:河又昭男さん(茂木町)撮影地:乾徳寺乾徳寺が好きで、毎年春・秋を中心に撮影に来ています。今年の作品は、少し視点を変えて撮ってみました。(河又さん)No.132平成28年9月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭409 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp24