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概要

広報なかがわ No.164

「異形」と言えば皆さんにはどんなものが思い浮かぶでしょうか。妖怪、幽霊、天狗などこの世にはいない「異第164回形」がイメージできるかと思います。現代では映画やアニメ、ゲームなどで「異形」をテーマに創作物が制作されています。江戸時代も現代と同じように浮世絵でも「異形」をテーマとした作品が多く作られ、人々の娯楽として普及しました。えいゆうごにんおとこみやもとむさし今回ご紹介する歌川広重「英雄五人傑宮本無三四」もその一つです。怪しげな山伏姿の天狗が何かから逃げるように飛び去ろうとしています。その視線の先にいるのは二刀流の宮本無三四(武蔵)です。暗い山中をモノトーンで表現し、妖怪と対峙するシーンを怪しげに演出しています。歌川広重と言えば「風景画」と連想する方も多いでしょう。しかし、広重の画業は風景画のみに留まらず、本作品のように英雄や怪奇現象をテーマとした作品も手掛けています。また「宮本無三四」という名が二刀流の男の横に書かれていますが、これは当時刊行されていた読本『絵本二島英勇記』(享和3年刊)の主人公で、宮本武蔵のオマージュで作られた人物です。本作品はその『絵本二島英勇記』七巻のワンシーンを描いており、この七巻わにでは鮫魚や天狗に出会い、退治します。本作品から江戸時代は浮世絵や本から娯楽として「異形」を見て、更にパロディ作品まで生み出したことがわかりますが、こうした「異形」を見る目は時代と共に変わっています。元々、天狗とは山の神もしくは怨霊として人々から超人離れした恐ろしいものという意識が強かったそうです。時には超能力を授ける存在、神仏の信仰を脅かす存在、幻術で人を惑わす存在など畏怖されていました。しかし、人々の暮らしが安定し、文明が発展するとともに天狗等「異形」はユーモラスな娯楽の対象としても見られるようになりました。企画展「青木コレクションに見る異形のもの」歌川広重「英勇五人傑宮本無三四」企画展「青木コレクションに見る異形のもの」では妖怪、幽霊、天狗など様々な異形を、青木コレクションよりご紹介します。江戸時代以降、どのような異形が描かれ、どのような反応を得ていたのでしょうか。江戸時代よりも更に文明が進んだ現代に、これから私たち人間と異形の関係はどう変化していくのか作品を見ながら考えてみると面白いかもしれません。馬頭広重美術館学芸員山内れい【会期】5月16日(木)~6月16日(日)【ミュージアムトーク】5月18日(土)午後1時30分~当館学芸員【開館時間】午前9時30分~午後5時(ただし入館は午後4時30分まで)【休館日】月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日【入館料】大人500円(450円)高・大学生300円(270円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額平成30年度那珂川町観光協会写真コンテスト受賞作品撮影者:江川入選「祭り祈願」清さん(宇都宮市)撮影地:馬頭入選「厳かに神事を待つ」撮影者:佐藤治男さん(真岡市)撮影地:和見No.164令和元年5月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp24