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概要

広報なかがわ No.169

若い女性が物憂げきせるな表情で細長い煙管を口にしています。大きな黒い帽子に小第169回さな黒い靴、漆黒の花模様が浮き出た黒い服と全身黒づくめの中、幾重にも重なって広がる白い襟がまるで蓮の花びらのようです。この版画を制作したのは、浮世絵の流れを汲む「新版画」で活躍したフランス人の画家、ポール・ジャクレー(1896-1960)です。ジャクレーはミクロネシアの島々や朝鮮、日本で取材した作品を制作していますが、晩年には新しい画材を求めて世界旅行に出かけました。半年間に及ほんこんぶ旅行の最初に立ち寄ったのが香港です。ジャクスタンレーレーは香港の赤柱で、この女性をスケッチしました。ジャクレーは、友人に宛てた手紙でこの作品についてこう書いています。「婚約した女性がかぶる帽子を頭上にのせたその女性は、自宅前で何をするともなく座っていた。彼女の表情には喜びと不安が入おでいり混じり、その姿はまるで汚泥から生える美しい蓮の花のようであった。」渋みのある銀色を背景に、黒の装いが美しい作品ですが、水彩で描かれた原画では、女性が身につけている帽子や服はオレンジ色でした。ジャクレーは原画から版画を制作するときに全身黒の服装に作り変えたのです。それにより、白い襟の華やかさが強調され、「婚約」というおめでたさが感じられます。同時に、結婚を控えた女性の複雑な心情といったものまでもが伝わってくるようです。展覧会では、この版画とともにスケッチや原画を並べて展示します。この美しい作品がどのような課程を経て制作されたのか、また、ジャクレーがこの作品でどのようなことを表現したかったのかなど、思いを馳せながらご覧ください。馬頭広重美術館主任学芸員長井裕子秋季特別展「ポール・ジャクレー展」~浮世絵に魅せられたフランス人画家~ポール・ジャクレー「黒い蓮華、中国」(個人蔵)【会期】前期10月14日(月祝)まで後期10月19日(土)~11月24日(日)【ミュージアムトーク】10月19日(土)午後1時30分~当館学芸員【入館料】大人700円(630円)高・大学生400円(360円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障害者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額【特別協力】稲垣ジャクレーテレズ、羅龍煥、羅智靖、富田聖三、横浜美術館(敬称略)平成30年度那珂川町観光協会写真コンテスト受賞作品優秀賞「黄金の棚田」撮影者:田代宏明さん(塩谷町)撮影地:小砂昴21弦楽四重奏団公演のお知らせ那珂川町も後援している、那珂川町ふるさと大使「玉川克」氏が所属する楽団の公演が開かれます。この機会に是非ご鑑賞ください。日時11月23日(土)午後3時開演(午後2時30分開場)場所那須野が原ハーモニーホール大ホール料金全席指定一般2,000円、学生1,000円(大学生以下)※未就学児の入場はご遠慮ください。プレイガイド那須野が原ハーモニーホール?0287-24-0880受付時間午前9時~午後5時No.169令和元年10月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp28