ブックタイトルnakagawa_202110

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概要

nakagawa_202110

第193回凄まじい砲火の中、巡洋艦・松島が応戦する様子。黒煙が立ち上り、懸命に大砲を打つ傍らで敵艦さんたんの砲撃で水兵が負傷している、惨澹たる戦場の光景です。この作品は石版画という明治中期より登場した印刷技術で刷られたもの。実は、清雄の画業には『印刷』、『海軍』という二つのワードが深く関わっています。ひとつめに『印刷』。西欧留学を終えた清雄は絵画技術に期待され、印刷局に勤めました。しかし、女工との恋、お雇い外国人・キヨッソーネと芸術観の違い…等、諸事情により、わずか10か月で辞めてしまいます。その後、勝海舟等から支援を受けて画家活動を続けますが、当時、画家として生計を立てることは難しかったようです。その中で清雄の画業を支えたのが、『印刷』の仕事。明治30年以降、出版社・春陽堂が発行する『新小説』の表紙絵を描きました。ふたつめに『海軍』。清雄は明治21年より海軍省から肖像画や海戦図を依頼されていました。本作品の松島は、黄海海戦(日清戦争)では旗艦であり、清国の戦艦と激戦を繰り広げました。この松島の水雷長として乗っていたのが、木村浩吉。浩吉は凄惨な戦場を語り、清雄はその証言から海軍省依頼の海戦図を描きました。本作品は明治33年に出版されたもので、春陽堂が清雄の原画を40度摺で再現しています。かわむらきよ特別展お川村清雄今回は清雄の油絵ではなく石版画のご紹介でしたが、清雄の画業は『印刷』、『海軍』など様々な要素が含まれていることが分かります。本作品は石版画といえども50.6×75.8 cmという大きなもの。ぜひ展示室でその迫力を感じてください。馬頭広重美術館学芸員山内れい【会期】後期10月8日(金)~11月7日(日)【休館日】月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日【開館時間】午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)【入館料】大人700円(630円)高・大学生400円(360円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額その画業那珂川町馬頭広重美術館蔵▲『帝国軍艦松島黄海激戦』川村清雄2020年度那珂川町観光協会写真コンテスト受賞作品最優秀賞「長閑な美しい田園風景」撮影者:富永明さん(宇都宮市)撮影地:小砂No.193令和3年10月10日号●編集/企画財政課? 0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp32