ブックタイトルnakagawa_202111

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概要

nakagawa_202111

第194回まんまくかずき美しい幔幕と紅葉を背景に、武将姿と被衣姿の人物が、赤と緑の鬼を捕まえています。鬼たちは抜身の刀を持っていますが、それを怖がる様子もなく堂々とした姿は、まるで歌舞伎役者が見得を切っているようです。描かれているのは、江戸時代の絵入り小説『偐むらさきいなかげんじ紫田舎源氏』の一場面。紅葉の宴で、将軍の息よしひさみつうじ子・義尚、光氏兄弟が、能「紅葉狩」を演じます。被衣姿で女性の面をかぶっているのが、鬼女役のたいらのこれもち兄、義尚。烏帽子姿で平惟茂を演じるのが、弟の光氏です。夕暮れ時、ほんのすこしだけ時雨が降かたずる空の下、誰しもが固唾を飲んで見物する演目の最中に、鬼の面をつけた二人のくせ者が襲い掛かります。光氏は少しも騒がず、演舞を続けながら乱入者を退治して舞をおさめます。このくせ者二ねこやまみけぞういぬだけ人は都のならず者。名前は、猫山三毛蔵と犬竹むく平といいます。緊張感のある場面のはずですが、二人のゆるい名前にはクスッと笑ってしまいます。もう一度絵の中の鬼を見てみると、なんだかおどけたような表情にも見えてきます。このゆるいネーミングセンスを発揮したのは、りゅうていたねひこ戯作者の柳亭種彦です。源氏物語を室町時代のストーリーに翻案したこの『偐紫』は、大変な人気を集めますが、天保の改革のあおりをうけ未完のまま絶版になってしまいます。今回ご紹介した作品三代目歌川豊国「今源氏錦絵合紅葉賀七」にせは、『偐紫』の挿絵をつとめ、この小説の人気の一翼を担った人気絵師、歌川国貞(三代目豊国)による揃物の一図です。広重美術館は、現在空調工事のため休館しています。休館明け、来年1月14日(金)からは企画展「浮世絵!源氏ものがたり」を開催します。今回いまげんじにしきえあわせご紹介した作品を含む「今源氏錦絵合」を全点公開する予定ですので楽しみにお待ちいただければ幸いです。馬頭広重美術館嘱託学芸員櫻井貴基【休館期間】~令和4年1月13日(木)企画展「浮世絵!源氏ものがたり」▲「三今代源目氏歌錦川絵豊合国紅葉賀七」【会期】令和4年1月14日(金)~2月13日(日)2020年度那珂川町観光協会写真コンテスト受賞作品優秀賞「神事のはじまり」撮影者:金子秀夫さん(芳賀町)撮影地:鷲子山上神社No.194令和3年11月10日号●編集/企画財政課? 0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp30