ブックタイトル広報なかがわ No.141

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概要

広報なかがわ No.141

一羽の雀が大きいなた豆の近くで翼を広げて羽ばたいています。止まっていたなた豆から離れ、何処かへ飛ん第141回でゆくのでしょうか。しっこく漆黒の中で存在と動きを感じさせる作品です。きよおこの作品を描いたのは、明治の洋画家・川村清雄(1852-1934)。「洋画家?」と疑問に思うかもしれませうるしいたんが、実は漆板に油絵具で描いた作品なのです。清雄は漆板に描く時、なぜ油絵具を手に取ったのでしょうか。おにわばん嘉永5年(1852)、清雄は幕府の御庭番の家に生まれました。倒幕後、当時20歳だった清雄は徳川家留学生として米国へ渡りました。当初の留学目的は政治学でしたが、元来絵が好きだったため、西洋画を本格的に学び始めます。その後、パリ、ヴェネツィアと渡り、帰国命令が下っても私費留学を願い出て、絵を学び続けました。この留学の間、清雄は異国の地で異文化に触れますが、段々と自分が日本人であることや古くからの日本文化を再認識するようになります。何度か留学延期を願い出ていた清雄ですが、30歳の頃にはついに却下され帰国を余儀なくされます。留学時は洋装の清雄でしたが、帰国後の制作活動が本格的になるにつれ、腕を通すようになったのは和装でした。西洋画に対して、いくら学んでも日本人の自分では真髄まで達する事はできないと考え、逆に己の西洋画技術で日本ぜしん的な油絵が作れないかと模索し始めます。柴田是真など数々の日本の美術作品を研究した末に、清雄は油絵具と共に日本画で使用される絹地、板、塗板、金地、銀地などの素材を手にします。従来の絵画技法と異なるため、思い通り描くのに難航したようです。特に板に描く時は一筆で一気に描かなければうまくいかないと語り、「なた企画展「川村清雄展」「なた豆に雀」川村清雄豆に雀」もほぼ一筆で描きあげています。こうして清雄独自の絵画が生まれ、やがて清雄は自身を「油絵師」と呼ぶようになりました。関東大震災などの災害で多くの作品が失われたせいか清雄の作品は数少なく、知る人は少ないでしょう。ですが、一生をかけ「日本的な油絵」を追求した油絵師・清雄の魅力を本展覧会で感じて頂けたら幸いです。馬頭広重美術館学芸員山内れい【会期】前期7月6日(木)~8月6日(日)後期8月10日(木)~9月10日(日)【開館時間】午前9時30分~午後5時(ただし入館は午後4時30分まで)【ミュージアムトーク(展示解説)】前期7月8日(土)午後1時30分~当館学芸員後期8月12日(土)午後1時30分~当館学芸員【休館日】月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日【入館料】大人500円(450円)高・大学生300円(270円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額※6月15日(木)県民の日は無料開放平成28年度那珂川町観光写真コンテスト受賞作品入選「絶景」撮影者:山中富夫さん(宇都宮市)撮影地:長泉寺長泉寺は立派なお寺です。大きな花が多く、特にボタンの多いのには驚きました。(山中さん)No.141平成29年6月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭409 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp22