ブックタイトル広報なかがわ No.142

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概要

広報なかがわ No.142

第142回幻の絵「鳩図」水彩絵具でグレイの洋紙6枚に渡って描かれた15羽の鳩たち。鳩たちが集まる竹製のつるばら垣根には蔓薔薇が色とりどりに咲いていまはとずかんす。当館に所蔵されている「鳩図巻」は、実はとある公爵家に依頼された絵の下絵でした。その「とある公爵家」とは、江戸時代に代々将軍を務めはたもとた徳川家。幕府旗本の家柄に生まれた洋画家・川村清雄おくづめは、倒幕後の17歳の時に徳川家達の奥詰(将軍警護)として仕え、帰国後は勝海舟からの依頼で徳川歴代将軍の肖像画を制作しています。清雄は留学前後に徳川家と関わりがあったため、絵の依頼があったのもうなずけます。さて、この「鳩図巻」は本来どのような絵に仕上がる予定だったのでしょうか。ほぼ同じ構図で16羽の鳩を描いた江戸東京博物館所蔵の「鳩図下絵」は、一面真っ黒に塗られた紙に鳩たちが描かれています。つまり、黒漆板に描くため描かれた下絵だったことが考えられます。企画展「川村清雄展」しかし、清雄は締め切りを守れず、絵の催促に来た家令きゅうかかぞく(宮家や華族の家務を管理する人)の前で「自ら許さない画は差し上げられぬ」と拭き取ってしまったエピソードがあります。この時黒漆板から拭き取られてしまった鳩の数は15羽。この鳩の数から江戸東京博物館蔵「鳩図下絵」(16羽)、当館蔵「鳩図巻」(15羽)、徳川家に納めた「鳩図」(15羽)の順で描いたのではないかと考えられます。この拭き取り事件後、清雄は締め切りを守るための誓約書を書いています。2枚の下絵から制作の入念な計画性と、拭き取り事件から清雄のこだわりが感じられますが、残念ながら黒漆板に描かれた「鳩図」はもうこの世にはありません。実は「鳩図」は大正14年に起きた千駄ヶ谷徳川邸の火災で焼失してしまっています。ですが、川村清雄展(後期)では2枚の「鳩図」の下絵を展示します(江戸東京博物館蔵「鳩図下絵」はパネル展示)。是非、展示室で2枚の下絵を見て、完成した黒漆板の「鳩図」を想像してみてください。馬頭広重美術館学芸員山内れい川村清雄「鳩図巻」大正6年頃【会期】前期~8月6日(日)後期8月10日(木)~9月10日(日)【開館時間】午前9時30分~午後5時(ただし入館は午後4時30分まで)【ミュージアムトーク(展示解説)】後期8月12日(土)午後1時30分~当館学芸員【休館日】月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日【入館料】大人500円(450円)高・大学生300円(270円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額平成28年度那珂川町観光写真コンテスト受賞作品特別賞「ヤナを造る光景」【開園期間】2017年7月15日(土)~8月27日(日)【営業期間】9:00~16:00(リフト下り最終16:15)撮影者:釜井三木さん(宇都宮市)撮影地:高瀬観光やな有料広告スペース(申し込み?0287-92-1114)No.142平成29年7月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭409 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp26