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概要

広報なかがわ No.161

絵の楽しみ方は人それぞれです。描かれた鍵となるものを見つけて、その物語を読み解くことは楽しみのひとつといえるでしょう。ここに一枚の絵があ第161回ります。筆を手に、梅のうぐいす木に止まる鶯を思案げに眺める女性は、いったい何を考えているのでしょうか。題名から『大鏡』にみられる有名な逸話が主題の絵だとわかります。ある時、村上天皇の清涼殿にあった梅が枯れました。代わりのものを臣下に探させたところ都のはずれに立派な梅を見つけます。早速持ち帰ると、枝に紙が結わえてありました。そこには女性の筆で「いつもこの木に来ている鶯に『私の宿はどこへ行ってしまったの』と尋ねられたら、どう答えたものでしょう」と書かれています。天皇は、屋敷の主である紀貫之の娘の和歌にいたく感じ入り、梅を元の場所へ返したというお話です。ここで鍵となる「梅」と「鶯」は春を象徴する取り合わせです。この絵は1年を各月1枚ずつ表現した「ひととせ」シリーズのうちの2月の作品です。この2つのキーワードから、「鶯宿梅」の故事と「春」を想起させたのでした。この「ひととせ」シリーズは京都出身の久保田米僊(1852-1906)が38歳の時に制作したものです。米僊は精力的に絵画制作を行った人物で、新幹線や飛行機のない時代に、京都から飛び出し東京、石川、朝鮮、アメリカ、フランスなど世界を飛び回った人です。米僊は、この作品のような伝統的な画題を描いたかと思うと、戦争画を描いたり、政治活動をしたりと様々な社会的な活動をする人でもありました。この作品が発行された明治23(1890)年は、米僊にとって新たな場で活躍する変化の年でした。京都の新聞でジャーナリストとして活躍していた米僊とくとみそほうは、その腕を高く買われ徳富蘇峰が創刊した東京の国民企画展近代日本と芸術新聞社に迎え入れられたのです。当館の青木コレクションにはまとまった米僊の作品が数多くあります。青木藤作と米僊をつなぐとすれば、徳富蘇峰だったのでしょう。さて、この絵の女性は何を思っているのでしょう。騒動のもっともっと前に鶯が梅に止まる様を眺めて和んでいるのでしょうか。はたまた、突然梅が持ち去られることになり、鶯を思いながら急いで和歌を考えているのでしょうか。もしかすると騒動の後、「そんなこともあったわね。」と思い出にふけっているのかもしれません。主題こそあれ、正解はありません。自由に想像の羽を広げてみてはいかがでしょうか。馬頭広重美術館学芸員寺田早苗【会期】2月16日(土)~3月31日(日)【ミュージアムトーク】2月17日(日)午後1時30分~当館学芸員【休館日】月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日【入館料】大人500円(450円)高・大学生300円(270円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額おう久保田米僊「ひととせ鶯しゅく宿ばいず」梅図企画財政課より発表会・報告会のご案内産学官連携事業なかがわ学発表会地域住民に那珂川町の地域資源を改めて認識してもらう機会を提供することにより、町の活性化に寄与することを目的に、なかがわ学発表会を開催します。日時2月26日(火)午前9時~12時場所小川総合福祉センターあじさいホール内容馬頭高校、帝京大学経済学部地域経済学科、宇都宮大学教育学部による研究成果発表定員先着80名申し込み方法2月19日(火)までに下記まで電話で申し込みください。地域おこし協力隊活動報告会那珂川町では現在5名の隊員が活動しています。隊員の活動を広く住民の皆様に知っていただくため、地域おこし協力隊の活動報告会を開催します。日時3月19日(火)八溝ししまるを食べよう!午後7時~地域おこし協力隊の場所役場201、202、磯野勇隊員の考案した203会議室『猪肉の甘煮とアボガ内容地域おこし協力ドのポキ丼』レシピはこちら↓隊の活動内容の発表及び交流会※申し込み不要申し込み・問い合わせ企画財政課? 0287-92-1114No.161平成31年2月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp20