ブックタイトル広報なかがわ No.156

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概要

広報なかがわ No.156

企画展「尾形月耕展―花と美人と歴史浪漫―」柱にもたれかかり、華奢な指先を顎に添え隅田川の向こうにある駒形堂を見つめる遊女。その仕草は別れた後も第156回去っていった人を想うかのようです。本図では他のシリーズとは異なり、画題にある紅葉は直接描からんかんれず、欄干には流れる川に浮かぶ紅葉が彫られています。画題の上には1羽のホトトギスが飛んでいます。想いにふける遊女をしなやかに、且つ周りの風景を水彩画のように柔らかく描いたのは、明治の絵師、尾形月耕(1859~1917)。当時の絵師では師について絵を学ぶ者もいましたが、月耕は父・清二郎の助言によって他の絵師の絵を見て学ぶ独学のスタイルで絵を習得し、生涯に渡って錦絵や日本画を多く描きました。本図を含む『美びじんはなくらべもみじ人花競』は明治20年から出版が始まったと考えられ、美尾形月耕「美人花競紅葉」人と花を取り巻く風俗や歴史故実の一場面を描き、バラエティに富んだシリーズです。さて、作品を見ると、一見画題の紅葉の描写が目立たないように見えます。しかし、紅葉・駒形堂・ホトトギスのワードを組み合わせるとある遊女の名前が浮かび上がります。描かれている遊女は江戸吉原三浦屋お抱えの高尾。高尾と名乗った遊女は何人もいたと言われていますが、本図では仙台高尾とだてつなむね呼ばれた遊女でしょう。仙台高尾は仙台藩主伊達綱宗に見初められますが、想い人がおり、伊達綱宗に身請けされても断わったことから隅田川で吊るし切りにされてしまいます。仙台高尾は想い人に「君はいま駒形あたり時鳥」という気持ちを詠っており、図の駒形堂やホトトギスが遊女は仙台高尾である事を暗喩しています。画題の紅葉は仙台高尾か初代高尾太夫かどちらかの辞世の句である「寒風にもろくも落つる紅葉かな」に由来しているの【会期】前期9月29日(土)~11月4日(日)後期11月8日(木)~12月16日(日)【ミュージアムトーク(展示解説)】前期9月30日(日)・後期11月10日(土)※いずれも午後1時30分~当館学芸員【開館時間】午前9時30分~午後5時(ただし入館は午後4時30分まで)【休館日】月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日【入館料】大人500円(450円)高・大学生300円(270円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付添い1名は半額でしょうか。その紅葉を欄干でさりげなく描いています。月耕が描く錦絵ではただ花や美人を美しく描くだけではなく、本図のようにさりげない描写から歴史や故事を思わせるものも多くあります。それは月耕が講談好きだったことが影響しているとも考えられます。歴史・故事の魅力をシンプルに納めた月耕の錦絵は、江戸から明治と激変した日本の人々にとって魅力的だったのではないでしょうか。展覧会で月耕の描写を見るだけでなく、何の故事なのかなど謎解きをするように見ても面白いかもしれません。皆さんが好きな歴史・故事をきっかけに、月耕の錦絵の魅力を知っていただければ幸いです。住宅・土地統計調査にご協力ください総務省統計局(栃木県・那珂川町)では、10月1日現在で住宅・土地統計調査を実施します。この調査は、住生活に関する最も基本的で重要な調査で、全国約370万世帯の方々を対象とした大規模な調査です。調査期間中、統計調査員が調査書類を配布いたします。調査への回答は、インターネットでの回答又は紙の調査票での回答をお願いします。馬頭広重美術館学芸員山内れい問い合わせ企画財政課?0287-92-1114No.156平成30年9月10日号●編集/企画財政課?0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555 URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp20