ブックタイトルnakagawa_202201

ページ
32/32

このページは nakagawa_202201 の電子ブックに掲載されている32ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

nakagawa_202201

第196回企画展「浮世絵!源氏ものがたり」前々回に引き続き、三代歌川豊国による揃物「今源氏錦絵合」から一図をご紹介いたします。本図は、『源氏しいがもと物語』の「椎本」の一場面。宇治の八の宮の二人の姫君におうのみやに関心があった匂宮が宇治に立ち寄ります。しかし、宇治川の対岸にある八の宮邸を自由に訪ねることのできない匂宮は、手折った桜の枝に「山桜匂うあたりに尋ね来て同じかざしを折りてけるかな」と歌を添え、童をつかいにして姫君たちへ贈るのです。描かれているのは、童に桜の枝を持たせ、つかいにやるところでしょう。匂宮の視線は、宇治川のむこうの八の宮邸に向けられているのだと想像できます。さて、画面左下にも和歌が書かれています「大悲者のてらの桜よかれ木にもはなさくものを風にまかすな後偐紫楼」。「今源氏錦絵合」は、このような狂歌がりゅう画面に書かれているのが特徴です。これらの狂歌は笠ていせんか亭仙果とその仲間たちによるもので、この揃物自体が、彼らの入銀(依頼者が制作費用を払うこと)によるという指摘もあります。笠亭仙果は、江戸後期の戯作者・狂歌師です。尾張熱田に生まれた仙果は、柳亭種彦に戯作の教えを受ける一方、狂歌師・三世浅草庵黒川春村の門人として歌をつくり、江戸を本拠地にしてからは四世浅草庵を名乗りました。今回ご紹介した作品にみえる狂歌の作者・後偐紫楼は、仙果の号ですのでこれが仙果自身の狂歌とわかります。昨年から続いていた工事休館もおわり、1月14日からは企画展「浮世絵!源氏ものがたり」を開催します。江戸時代のベストセラー『偐紫田舎源氏』に取材した「今源氏錦絵合」など、華やかでときにスリリングな物語の世界をどうぞお楽しみください。馬頭広重美術館嘱託学芸員櫻井貴基【会期】1月14日(金)~2月13日(日)【開館時間】午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)【休館日】1月17日、24日、31日、2月7日【入館料】大人500円(450円)高・大学生300円(270円)※()は20名以上の団体料金※中学生以下は無料※障がい者手帳等をお持ちの方とその付き添い1名は半額令和2年度那珂川町観光協会写真コンテスト受賞作品入選「春の長泉寺」撮影者:綿引勝春さん(茨城県大子町)撮影地:白久No.196令和4年1月10日号●編集/企画財政課? 0287-92-1114 Fax0287-92-1316●発行/那珂川町役場/栃木県那須郡那珂川町馬頭555URL http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp32